西田辺・いりふね温泉のお湯の効能や入り方、用意すべき持ち物は?

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地下鉄御堂筋線西田辺駅から徒歩1分という便利な場所に、60年以上前から営業されている銭湯があります。地域の住民はもちろん、長居公園で走るランナーの拠点として、とても愛されています。

この記事では、銭湯に昔いったことある方、初めてという方でも気軽に足を運んでいただけるよう、いりふね温泉の入り方やお風呂の魅力について店主さんから詳しく教えていただきました。これを読んで、いろんなお風呂に入って、ぜひストレスを解消してください。では銭湯に持参するもののお話から。(記事の内容は2022年8月23日現在です)

もくじ

銭湯にいくときに必要なものは?

銭湯で使うものは、タオル、石鹸、シャンプーやリンス、バスタオル、洗面器、かみそり、ブラシなどです。洗面器は風呂場に備え付けているものを借りるとよいです。その他はたいてい貸してもらえます。ただし有償です。いりふね温泉では、貸しタオル20円、ミニ石鹸20円、シャンプー30円、リンス30円のほか、様々な銭湯グッズも販売しています。お仕事帰りに銭湯でも!という方、生憎忘れてしまって、という時に便利です。

ちなみに筆者は、洗面器にバスタオル、手ぬぐい、石鹸を入れて持参します(写真)。健康のためにお風呂を楽しみにいくので、湯船に入るために身体を洗う以外は自宅で入り直すためシャンプーは持参しません。

いりふね温泉の入り方とマナー

平日は3時きっちりにオープンします(日曜日は1時です)。数名の方が待ち構えています。専用の駐輪場を向かいに確保されています。

入口を入ったら下駄箱に履物をいれます。いりふね温泉の下駄箱鍵は木製です。

ロビーでお金を支払ってから脱衣場に入る「カウンタースタイル」です。男女の脱衣場の間にある「番台」で料金をうけとるスタイルは少なくなっているのだそう。

基本料金のほかは、サウナやレンタルはオプション。小銭を用意しておきましょう。いりふね温泉では回数券も販売しています。クレジットや電子マネーは使えません。脱衣室に進みます。

ここでロッカーを選択。あとは脱いで入るだけ。マスクは外して入ってください(もちろん体調が悪い方は入店自体NGです)。脱衣場のカギは手首や足首につけておけば無くさなくて済みますが湯船の底に落とさないように!

いりふね温泉では、ベビーベッド付きのロッカーが男女の脱衣所に2つずつ用意されています。

ところで、風呂場にバスタオルを持ち込む人が時々いらっしゃるとのこと。身体にタオルを巻き付けて温泉の湯船に入るシーンをテレビ番組でみかけることや、ボディーソープを使って手で身体を洗いバスタオルで身体を拭くという生活パターンが影響しているようです。

しかし、銭湯では湯船にタオルを浸けるのはNGです。お湯を汚さないためです。手ぬぐいやスポンジタオルは、体を洗うときと身体をふくときだけ使います。手ぬぐいを絞って身体を拭いてから脱衣場に出て、そこでバスタオルを使ってください。また、最初に湯船に入る前に、シャワーで全身を洗い流しましょう。

いりふね温泉ではサウナを使う人に汗取り用として専用バスタオルを渡しています。風呂場にバスタオルを持ち込めるのはその場合だけ。サウナに入るときにそれを身体に巻いて入るルールとなっています。その他、風呂場で染めた髪を洗うのも、髪を染めるのも、洗濯もNGです。

いりふね温泉のお風呂の楽しみ方

いりふね温泉には7種類の湯船とサウナが用意されています。

まず主湯は深さが2段階あって、深い方はお湯の温度が42.5~7度と最も熱い設定です。その隣に浅めの湯船があり、その続きにクリニック(泡ぶろ)、そしてフィットネス(2口のジェット風呂)のところでは42度ほどの湯加減に。もちろん前後しますし、冬は1度ほど上げるとのこと。細かな気配りです。

主湯の手前には電気風呂も。そして、半屋外に露天風呂、その隣に水風呂があります。露店風呂は一週間単位で効能の種類を変えています。ヒノキ、ラベンダーなど5~6種類を店主がチョイスして順繰りで提供されています。

水風呂の水温は13度に保たれています。大したことはないとお思いでしょうけど、一度浸かってみてください。悲鳴をあげるかも。でも、この水風呂こそが健康づくりのためにいりふね温泉が力をいれており、わざわざ冷却までされています。サウナや熱い湯船と水風呂を交互に利用することで血行がよくなります。

サウナは高温に熱した石に自動で水滴が落ちて湿度が保たれる(オートロウリュウ)フィンランド方式です。男湯では定員5名、女湯では定員4名です。

銭湯から上がる時は?

脱衣場に出る前に、身体の水分をタオルでふきとっておきましょう。ドライヤーが備わっていますので、持参したブラシで髪を整えましょう。

脱衣場には白山の山並みの大きな写真が飾られています。その理由を尋ねると、大阪で銭湯経営を始めた方の6~7割が石川県出身の方だそうです。大阪市内に多くの銭湯が必要となり、最初に開業された方の暖簾(のれん)分けで広がったのではないかとのこと。水の美しい石川県の方々ならきっと水質の管理に気を配っておられたのではないでしょうか。

さらに、脱衣場の天井をみあげると、大理石調のパネル装飾に昭和を感じます。

風呂上りはロビーで飲み物やおつまみを楽しむ!

飲料コーナーの目玉は、サーバーから注がれる生ビールです。しかも320円(税込、令和4年8月現在)。感染拡大の影響で一時期は休止していましたが現在は提供中。居酒屋ではありませんから、ほどほどに楽しみください。カウンターには駄菓子コーナーも。

また、ソフトドリンクのコーナーでも組合主催のイベントが行われたりします。この夏は全国のサイダーが飲めるイベントが開催されていました。ソフトクリームもあります。ご自身で巻いて楽しんでください。

長居公園のランナーご用達(ランニング・ステーションとは)

長居公園では毎週木曜日の夜7時から、より早いタイムをめざすランナーが無料で参加できる練習会があるそうです。仕事帰りに参加される方も多く、冬場のシーズンには300人もの方が走りにこられるそうです。ご主人もマラソン経験者ですので、その方々の利用できるスペシャルなサービスを用意されていますのでご紹介します。

仕事帰りにいりふね温泉に直行したら、脱衣場で練習着に着替え、脱衣箱に荷物を入れておき、鍵をフロントに預けて長居公園へ。長居公園までは約1キロ。そして練習を終えて帰ってきたら入口に置いているランナー用タオルで汗を拭き、そのままお風呂へ!

水風呂やジェット風呂でケアをできるので、次の日が仕事でも体力が回復するのだそう。仕事場が大阪市内で自宅が府外という方もおられるそうです。

お湯の厳しい衛生管理

いりふね温泉の風呂場では、ご主人が計測器をもって湯船のお湯を採取される姿を毎日みかけます。お湯の衛生管理は厳しく義務付けられています。

大阪市の飲料水の残留塩素濃度は0.4㎎/ℓ以下。モンドセレクションで賞を獲得するなど高い技術で浄水処理されています。いりふね温泉ではこの水道水を使用しており、お湯を常時循環・濾過するとともに塩素濃度を保健所の定める0.4~1.0㎎/ℓの範囲に保って大腸菌やレジオネラ菌などを殺菌しています。この濃度は誤って口に入ってももちろん大丈夫です。

考えてみると家庭のお風呂はこのような殺菌を行わないので、銭湯のお湯はどれだけ安全かということがわかります。そして、定期的に水を入れ替える際に清掃を徹底しているとのこと。湯船にタオルを付ける行為を禁止しているのは、利用する人の安全を考えてのことですね。

いりふね温泉のこと

いりふね温泉は先代が石川県から越してきて1960年から営業を始められました。千客万来を願って「入船」の文字にあやかって「いりふね温泉」と名付けました。ところで、大阪の銭湯は「~温泉」というネーミングを使う例が多くみられます。大阪ならではのネーミングだったのでしょうね。東京では「~湯」が主流とのこと。

大阪の銭湯は全盛の1970年頃には阿倍野区内に64軒の銭湯があったそうです。今では3軒です。貴重です。阿倍野区内のコンビニエンスストアが50軒ほど(令和4年8月)ですから、まちの角々に銭湯があったのですね。家にお風呂のないお家が多数派の時代に銭湯が必要でした。そして衛生的な環境を確保するため、物価統制令にもとづいて価格の上限が決められました。それは今も続いていて現在は1入浴490円です。

ちなみにスーパー銭湯は、その他の公衆浴場に分類されており、価格の上限が決められてない施設のことです。飲食施設や遊興施設などを併設して、規模が大きな銭湯のようなものです。

銭湯には様々な設備が必要ですが、銭湯経営の中でも生命線がボイラーです。これが老朽化して交換が必要になったとき多額の投資を伴い、でもお客様が増える訳ではないので、銭湯の営業を続けるか判断が求められるとのこと。その他にも、清掃や休みなしでの営業など、銭湯を経営するということは今ではたいへんなことですね。いりふね温泉さんも、先代が営業を終えようとされたとき、今のご主人が仕事をやめて後をついだのだそう。学生の時から家業を手伝い、当時の主な燃料だった木を集めて回り、オイルショックで燃料が手に入らなくなった時には就職を一旦止めて手伝ったりした時の思いもあったそうです。

地域の方が楽しみにして、ストレス発散や健康を維持する大切な場所として、日々営業を続けておられます。毎年、近くの幼稚園児も銭湯体験をして、大切なことを学んで帰ります。 さて、これを読まれたあなたも、いりふね温泉で銭湯デビューをなさってください。

基本情報

・営業時間/午後3時~午後11時30分 日曜日は午後1時から

・定休日/毎週火曜日と第1月曜日が休み

・入浴料/ホームページでご確認ください。 https://irifune-onsen.com/

・住所/大阪市阿倍野区西田辺町1-2-22 地下鉄御堂筋線西田辺駅2号出口から徒歩1分

・電話/06-6629-6205

・自転車置き場 全20台

・支払方法/現金(電子マネー、クレジットカードは使えません)。

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この記事を書いた人

地域に密着するスタイルでまちづくりのコンサルティングに従事。その経験を活かして大阪ミナミの戎橋筋商店街の事務局長としてエリアのプロモーションやリノベーションに取り組んでいます。一住民として地域活動では阿倍野区~東住吉区のbuylocal活動、町会活動(防災担当部長)、小学校での伝統野菜指導やまち歩きなどを行っています。2013年から2022年まで大阪公立大学観光産業戦略研究所客員研究員。

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