東住吉区・旧田辺村の鎮守 山阪神社(やまさか)の歴史や魅力

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山阪神社は旧田辺村周辺が氏子の地域で、千年以上の歴史があります。今も田辺地域のコミュニティの中心にあり、初詣や夏祭りでにぎわいます。身近にある山阪神社の歴史や境内の魅力をご紹介します。

もくじ

山阪神社の歴史

山阪神社が創建された時期については、山阪神社の御由緒略記に次のように記されています。

「天穂日命(アメノホヒトノミコト)の子孫がこの土地に住し、その祖神天穂日命を祀って社殿を建立しました。 さらに、その同族土師 (ハジ)氏たる野見宿禰命(ノミノスクネノミコト)を合わせて祀られたのが当社の創めとされています。」

山阪神社のことが記されている最も古い文献は「三大実録」です。天安2年(858)8月から仁和3年(887)8月までのことが記された歴史書で、菅原道真も編纂に関わったといわれています。(国立公文書館)

経済雑誌社編・発行「国史大系. 第4巻 日本三代実録」(明治30)※左側頁の5行目

「三大実録」の貞観四年(862年)十一月の十一日乙亥に「攝津國正六位上田邊東神、田邊西神並授、從五位下。」と書かれています。

ここに記されている「田邊西神」については、享保20(1735)年から21年にかけて出版された地誌「日本輿地通志 畿内部」の摂津志の編にも「田邊西神祠 貞観四年十一月授従五位下在南田辺村稱日山阪明神」と書かれています。

「大日本地誌体系」(刊行会雄山閣版1929-1933年)

山阪神社の境内の、本殿の向かいにある燈篭に「田辺西神社」と刻印されています。燈篭のもう一遍には「天明七年」とあります(天明7年は1787年)。

左の燈篭に田邊西神社の刻印が

山阪神社は昔は田辺西神社であり、少なくとも平安時代にはこの地にあったということです。歴史のある神社です。

山阪神社がある場所と氏子地域

山坂公園から見ると、境内はなだらかな丘の上にあります。境内をふくむ西側周辺には奈良時代の集落跡が確認されており「山坂遺跡」に該当します。また境内の東側には奈良・古墳時代の古道「難波大道跡」が通っていたとされます。境内の大鳥居を出た南北の通りは下高野街道で、こちらも古道です。このように山阪神社は歴史ある場所です。

山阪神社
埋蔵文化財包蔵地分布図

また、山阪神社の現在の住居表示は東住吉区山阪ですが、山阪神社のしおりにある氏子地域(大正14年)は、大阪市に編入される前は田辺町(田辺村)でした。現在は阿倍野区と東住吉区にまたがっています。

出典 左:山阪神社御由緒しおり 右:明治19年地形図

ところで、田辺という地名は、田辺史(ふひと)に因むとされています。田辺史は現在の柏原氏を拠点とした氏族と言われていますが、現在の北田辺にも田辺廃寺跡が発掘されています。

山阪神社が祀る天穂日命は、日本書紀によると天照大神の第2子で、その末裔が野見宿禰命。野見宿禰命は埴輪を発明しその功により垂仁天皇が土師氏の姓を与えたと伝承されています。山阪神社の御由緒には、天穂日命の末裔が神社を建てたとされていますが、田辺氏と天穂日命、土師氏の間にはどのような関係があるのでしょうか?歴史ロマンですね。

山阪神社の境内を散策しよう

山阪神社の本殿をお参りしたら、その北側にあるお稲荷さんも訪れましょう。鳥居を抜けてお社の周囲を回れるので反対側からもお参りしましょう。

山阪神社の本殿の北側には大相撲大阪場所のときには九重部屋の宿舎になる建物があります。部屋の中には土俵があります。山阪神社が祀る神様の一人が野見宿禰命(ノミノスクネノミコト)で、野見宿禰命は相撲の神様です。

参道沿いには力を試すために使われた力石や、天然記念物の楠、御由緒が書かれた石碑などもあります。

鳥居を出たところは下高野街道で、北に進むと法楽寺に至る、歴史を感じる道です。また鳥居の正面の道を進むとスーパーマーケットや商店街、魅力的なお店が点在しています。

隣接する山坂公園には小学生から幼児までが遊べる遊具があり、公衆トイレもあって安心で、春は桜がきれいです。

山阪神社の夏祭りをはじめ年中行事

山阪神社の年中行事は下記に記載しています。ここでは、お正月と夏祭りなどをご紹介します。

正月三が日には氏子地域の初詣の人出でにぎわいます。昨年の2022年は境内に露店も出ていました。

1月15日には「とんど祭(さい)」が行われます。古い神札(かみふだ)やお正月飾りのしめ縄などは午前中までに持参するとお炊き上げをしてもらえます。できないものは表示されていますのでご注意ください。

7月には夏大祭(夏越祭)があります。毎年7月20日は宵宮、21日が本宮です。参道や境内、境内の隣にある山阪公園まで露店が並んでにぎわい、地域の子どもたちの楽しみになっています。山阪神社の獅子講は2015年に40年ぶりに復興し、獅子舞、傘踊り、篠笛、締太鼓の奉納が行われ、2017年にはお神輿も復活、2022年にはお祭りが復活しました。現在も山阪神社獅子講の参加者を募集されています。

11月には七五三の祈禱祭に訪れる親子でにぎわいます。

山阪神社の年中行事(山阪神社しおりより)

正月元旦・2日・3日 歲旦祭、初春祭、元始祭

正月7日 七種菜の祭

毎月1日、15日 小正月七元祭、成人祭 月次祭、奉質会祈願祭

正月15日 とんど祭(さい)

2月(節分の日) 節分人形鎮魂祈禱祭

2月11日 紀元祭

3月3日 雖祭、桃の節句

3月21日 春分の日祖霊祭

4月15日 春祭、荒川稻荷社初午祭

4月29日 みどりの日

5月3日 憲法祭

5月5日 端午節句祭

6月30日 大祭

7月20、21、22日 夏大祭(夏越祭)

9月23日 秋分の日 祖霊祭

10月10日 体育祭

10月14、15日 例祭、初穂料奉献祈願大祭

11月3日 文化祭

11月中 七五三祈禱祭

12月25日 天長祭

12月31日 大秋祭、除夜祭

山阪神社

大阪市東住吉区山阪2 19-23 (JR阪和線南田辺駅[出口]から徒歩約3分)

TEL 06-6221838

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この記事を書いた人

地域に密着するスタイルでまちづくりのコンサルティングに従事。その経験を活かして大阪ミナミの戎橋筋商店街の事務局長としてエリアのプロモーションやリノベーションに取り組んでいます。一住民として地域活動では阿倍野区~東住吉区のbuylocal活動、町会活動(防災担当部長)、小学校での伝統野菜指導やまち歩きなどを行っています。2013年から2022年まで大阪公立大学観光産業戦略研究所客員研究員。

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