まちづくりと組織

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前号で、まちづくりとは、「まちを持続させようとする意思とその行動」「都市とは人が集まって暮らし分業しており、財やサービスを共同消費している」と主張しました。

そうすると「意思決定」がたいへん重要です。そして、まちづくりを進める上で私が一番重視するのは組織です。

もくじ

まちづくりの根幹は自治

まちづくりの根幹は、自治です。自治体というから、自治は行政の仕事だと思っている人も少なくないでは?と心配することがあります。

行政は住民の共同財産の管理や事務の執行を信託され、そのため権限が与えられていますが、それは一部に過ぎません。それが如実に現れるのは震災時です。阪神淡路大震災では発生から3日間の人命救助の95%は住民が担いました。マンション再建は総じてスピーディーに進みましたが、遅れた事例では他の住民に居場所を伝えずにどこかのホテルに避難してしまい、合意形成ができなかったケースを記憶しています。

最近は、自治会やPTAの不要論を記事で時々みかけます。「自治」は獲得するものであった厳しい時代もありました。自治を担う次世代の教育に対して今の世代が何を担うのか、その原点にたって官民で議論をしてほしいと思うのです。その際にはちゃんと専門的な知見を聞いて論点を整理、共有することも大事。

組織の鮮度を保ちましょう

組織は設立すると腐り出す、というのが持論です。組織の存続が目的化したり道具になったりすることもあります。まちづくりに専門的にかかわる皆さんは、会則をつくったり会議を企画したりする機会が多いと思います。

ある地域が不活化していた時期に、既存組織はあるけど連携できていなかったことから、実際に実務を担当する人が情報交換を行う場を提案しました。果たして、意見交換は活発化し、やがてエリアのマネジメントへと展開していったのですが、会則には会長を置かないとしたことが草書は理解できない人も出てきました。なぜ会長を置かなかったのか、皆さんも考えてみてください。

様々な組織の位置づけや目的を「自治」に照らして常に点検し、鮮度を保てるように、専門的な助言をすることをどうぞ忘れずに。

Community development and organization
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この記事を書いた人

地域に密着するスタイルでまちづくりのコンサルティングに従事。その経験を活かして大阪ミナミの戎橋筋商店街の事務局長としてエリアのプロモーションやリノベーションに取り組んでいます。一住民として地域活動では阿倍野区~東住吉区のbuylocal活動、町会活動(防災担当部長)、小学校での伝統野菜指導やまち歩きなどを行っています。2013年から2022年まで大阪公立大学観光産業戦略研究所客員研究員。

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